【FET/OPT/VCA/TUBE】4種のコンプの使い分け、2つのポイントでOK
最終更新日:2024/11/09
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目次
コンプの選び方、たった2つのポイント
今回は、よく使われる4種類コンプFET、OPT、VCA、TUBEの使い分けを見ていきましょう。種類が多くて、一見使い分けが難しそうなコンプレッサーですが、“基本的には”2つのポイントを押さえるだけで、簡単に最適なコンプが選べます。
まずは最低限押さえておきたい基本的なコンプの概念を復習してみましょう。
“最低限押さえておきたい”基本的なコンプの概念
コンプを選ぶ上で押さえておきたい最低限のコンプの概念は、
- ①コンプは音を圧縮するエフェクト
- ②これより大きい音を圧縮してね!という設定をする
- ③コンプ自身が音を聞いて、指示された音より大きいかを判断する
特にコンプを選ぶ上では、③のコンプ自身が音を聞いた上で圧縮するか判断するという考え方が重要です。
コンプによっては、「音を聞く過程に時間がかかるモデル」、「音を聞くのが素早いモデル」など個性が様々です。
コンプ選びを難しくしている理由は、このコンプごとの個性だと思うのですが、逆に言うとこの個性を押さえておけばコンプ選びは怖いものなし!
ざっくりFET、OPT、VCA、TUBEの個性を押さえよう
コンプを選ぶ上で必要な、各コンプの特徴を押さえましょう。
「各コンプの特性なんて理解したくない!」という方は、飛ばしても大丈夫です◎
FET系 | 反応が早いけど、クセもある
FET系コンプは、
- ・聴いた音に素早く反応
- ・特有のクセがある
多くのFETコンププラグインはヴィンテージ機材の再現。トラックにキャラクターをつけるいわゆる”色付け”をする事ができます。代表的なFET系コンプは、1176系と呼ばれるヴィンテージ機材。Universal Audio 1176 Classic Limiter Collection
OPT | 反応が遅くて、透明感と少しのクセ
OPT系コンプは、
- ・聴いた音への反応が遅い
- ・透明感と少しのクセ(トリッキー)
少しトリッキーなのは、OPT系には真空管(TUBE)を使ったコンプがあり、多少のクセや温かみがあります。OPT系の代名詞といえばLA-2A。
また「反応が遅い」はマイナスに聞こえますが、音を自然に圧縮できるメリットがあります。
VCA | 反応が早くて、クセが少ない
VCAコンプは、
- ・聴いた音に素早く反応
- ・ほとんどクセがない
FETと同じく素早く反応できるタイプですが、より自然に圧縮することができます。
ボーカルに使うのがおすすめなVCAコンプdbx160
TUBE | 反応は遅くて、クセがある
TUBEコンプは、
- ・聴いた音への反応が遅い
- ・特有のクセがある
OPT系でも真空管を使っているものがあるので、今回は便宜的にOPTではないMu技術を使った真空管コンプをTUBEと呼ぶことにします。
コンプの選び方・基本は2つのポイント
早速ですがコンプの使い分け、基本はこちらの2つのポイントです。
- STEP 1 音色の見極め:使いたい楽器は柔らかい音かな?
- STEP 2 色付け:コンプレッサーで色付けしたいかな?
それぞれ詳しくみていきましょう。
STEP 1 使う楽器は柔らかい音?
音が硬いか柔らかいか
コンプレッサーの選び方、ステップ1は、トラックの音色の見極め。使いたいトラックの音が「柔らかめの音」なのか、「硬めの音」なのかを判断しましょう。
- 柔らかい音→ OPT系またはTUBE系
- 硬い音 → FET系またはVCA系
ポイント解説
STEP1のトラックの音色の見極め。
厳密にはトランジェントと呼ばれる音の一番始まりの強さの見極めですが、硬い音か柔らかい音かという判断でもだいたいOK。
- ・スネアやハイハット、カッティングのギターなど硬く感じる音、アタック音が大きく感じる音→トランジェントが強い。
- ・Pad系のシンセやリバーブの深いエレピなどの柔らかく感じる音→トランジェントが弱め。
同じ楽器でも、弾き方でトランジェントの強さが変わるので、どの楽器を使うかではなくどういう音が出ているかを意識してみましょう。
前述のコンプの個性により、圧縮開始までの時間が遅いものがあり、こうしたコンプをトランジェントが強い楽器(硬い音)に使っても音がうまく圧縮されません。
STEP1のまとめ
- ・トランジェントの強い楽器(硬い音)にはレスポンスの早いFET系またはVCA系を選びましょう。
- ・トランジェントの弱い楽器(柔らかい音)にはOPT系やTUBE系を選びましょう。
なおアタックタイムを遅く設定できるFETやVCA系も、OPT系の反応の遅さよりは早い設定となることが多いです。
STEP 2 色付けしたい or 透明感が欲しい
各コンプ特有のキャラクター
コンプ選び2つ目のポイントは、コンプレッサー特有のキャラクターを付け足したいかどうか。
- 色付けしたい → FET系またはTUBE系
- 透明感が欲しい → OPT系またはVCA系
ポイント解説
DTMで使うコンプレッサープラグインの多くは、ヴィンテージ機材をエミュレートしたもの。中でもFET系・TUBE系コンプはキャラクターが強く、使ったトラックに温かみや特有の質感などを加えることができます。
色付けが不要な場合は、透明感のあるOPT系やVCA系を選びましょう。
ただし前述のように、OPT系には真空管を使ったコンプがある上にあくまでアナログ機材の再現なので何かしらのクセがつくことを覚えておきましょう。(そういったクセのON /OFFできるプラグインもあります。)そのため、絶対に色付けしたくなくてアタックの遅いコンプが必要な場合は、DAW標準などのデジタルコンプを使うと良いでしょう。
STEP2のまとめ
- ・色付けしたい場合には、FET系またはTUBE系を選びましょう。
- ・クリアに仕上げたい場合には、OPT系やVCA系、またはDAW標準のデジタルコンプを選びましょう。
コンプ使い分け表
というわけで、コンプレッサーを選ぶ基本は2つのポイント。
- ・使いたい楽器は柔らかい音か?
- ・コンプで色付けしたいか?
これを一つの目印としてコンプを使い分けていけば、次第に直感的にコンプが選べるようになってきます。少し時間はかかるかもしれませんが、実践あるのみ!
まとめ
いかがだったでしょうか。
他のプラグインより少し踏み込んだところにあるコンプレッサーは難しいイメージがありますが、突き詰めれば2つのポイントで使い分けることができます。
各コンプレッサーのより詳しい解説や、おすすめのプラグインはまた次回!